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「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」では、その副題が示すように、ターナーの絵画と現代アーティストの作品が、同じ空間の中に展示されます。
「♥TURNER」の企画として、現代美術を親しみあふれるテーマとして紹介してきた作家・パピヨン本田さんの視点から、本展をより楽しむためのコラムを全5回にわたって連載します。

はじめに
第1回暗い部屋
パピヨン本田

パピヨン本田

1995年生まれの作家。2021年からX(当時のTwitter) に美術にまつわる漫画をアップしはじめ、またたく間に人気を得る。美術史やアーティスト、展覧会、ギャラリーなど、美術業界の様々な題材で漫画を制作。主な著書に《常識やぶりの天才たちが作った美術道》(KADOKAWA)、《美術のトラちゃん》(イースト・プレス)、《コンセプチャル・ガール》(集英社)がある。

はじめに

パピヨン本田
パピヨン本田
パピヨン本田
第1回 暗い部屋

第1回

暗い部屋

みなさん、ターナーという画家を知っていますか?イギリスで一番有名な画家とも言われていて、ぼんやりとした淡くて綺麗な光の表現で「光の画家」だなんて呼ばれています。日本では「印象派」が人気ですよね。印象派は外の光や空気感を絵の中に表現しようとしましたが、ターナーは印象派に先駆けた表現を試みていました。ターナーは、印象派の代名詞とも言われるモネにも影響を与えたと言われています。ターナー、すごくないですか?えへん!

今回のターナー展では、ターナーの作品と共通項のある現代美術の作家の作品が同時に並んでいます。絵だけでなく、写真や映像作品、インスタレーションも!ターナーと同じ題材を扱っているのに、時代が変わるとこうも違う表現になるんだ!というところを見ると楽しいかもしれません。ちなみにイギリス在住の現代芸術家に毎年贈られる、ターナー賞というものもあります。

現代美術なんてわけわかんないよ!と思うかもしれませんが、ターナーを通すことで理解できたり、逆に現代美術の方からターナー作品をより理解できるかもしれません。
この展覧会では、序章としてまず「暗い部屋」に入ります。なんで?と思いますよね?実は最初に暗い部屋に入るのには意味があります。

ターナーは自分で画廊をやっていて、そこで自分の絵を売っていたのですが、まずはお客さんを蝋燭しかないうす暗い部屋に通しました。そこでしばらく過ごしてもらってから、画廊に案内して絵を見てもらうのです。みなさんも暗い部屋から急にカーテンを開けたら、目が光に敏感になって眩しいと思ったことはないですか?
それを狙って暗い部屋から出てきた時に、より自分の絵の光の表現を鋭く感じてもらおうとしたんじゃないかと思います。。なんだか演出家ですね。

そして今回のターナー展の序章には、ターナーと同じくイギリス生まれの作家、ケイティ・パターソン(1981~)の《Totality(皆既食/全体性)》という作品が展示されます。ターナーには日食を記録した作品があるのですが、ケイティは今まで人類が観測してきた日食を記録した写真や素描などを使ってミラーボールにしました(その数1万以上)。それが光を受けて反射することで部屋を光らせます。日食は世界を暗くするものですが、この部屋では、無数の日食の記録が部屋を光らせます。

壮大な自然現象が閉じ込められているのに、見た目は俗っぽくも見えるミラーボールというのが面白いですよね。ターナーが見た日食もそこにあるかもしれないと思いを馳せながら、目を暗闇に慣らすのもいいかもしれません。

第2回

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